e-子育てモバイル・子育てのいろは(3)
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【子育ての秘訣/この人に聞く】
人生の先輩の考える子育てとは(1)
★相田みつを美術館 館長 相田一人氏

■うつくしいものを 美しいと思える あなたの心がうつくしい P2
さらに言っていたのは、どうしたらこのような心が子どもの中に芽生えるかということですけれども、父の答えは明確で、「まず親が感動しないとダメ」と言っていました。

親が、例えば風景でも絵でも音楽でもなんでもいいわけですけれども、美しいものを見たときに、心の底から「いいなあ」と感動しますね。するとその感動というのは必ず子どもの心の中に伝わっていって、子どもの心の中に美しいものを見て美しいと思える心が芽生えるというのが父の持論でした。

今思うと、父はそのことを実践していました。父は朝から晩まで仕事をしているタイプで、タバコもお酒もたしなまなかったですから、気分転換と言えば魚釣りでした。私が小さかった頃は渡良瀬川のそばにいましたので、父に連れられて魚釣りに行きました。

夕方に出かけることが多いものですから、魚釣りをしている間に日がとっぷりと暮れて夕焼けになってきます。

その夕焼けの中を帰るわけですけれども、川原の土手を私の手をつないで歩きます。夕焼けを指差して「一人(かずひと)、なんてきれいな夕焼けなんだろう」と言うわけなのですが、それがつないだ手から父が本当に感動して言っているのか、口先だけで言っているのか分かるのです。

今考えると、そうして子どもの私に美しいものを見て美しいと思える心を伝えたかったのだろうと思います。この言葉は父の教育の原点だったと思います。

繰り返しになりますが、「美しいものを見て美しいと思える心」というのは、戦争ですとか犯罪やいじめなどが間違っているとパッとわかる心なんですけれども、今の時代はなかなかそれが分からなくなってしまっていますね。

だからこの言葉は今の時代を考えると、父の残した言葉の中でも大事な言葉なのではないかと勝手に考えています。(続く)

【相田一人 氏 プロフィール】
詩人・書家であった相田みつをの長男で、現在は相田みつを美術館の館長を務める。

相田みつを美術館
東京都千代田区丸の内3-5-1
東京国際フォーラム 地下1階
24時間テレフォンガイド 03(6212)3202
羊(2009/10/13)

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