子育ての秘訣

子育ての『いろは』

こどもの社会性を育てるには・・・

連載11 大人が思う以上に子どもはわかっている

小さい子どもは推理や論理的な課題が苦手と思われて来ましたが、実際には従来考えられていた以上に解っているようです。

発達心理学で「誤信念課題」というものがあるのをごぞんじでしょうか。他者の心が理解できるようになるのが、どのくらいの年齢・月齢なのかを調べるための実験です。

例をあげてみましょう。

赤と青の箱を用意します。犬君が赤の箱にお気に入りのボールをしまって部屋を出ました。そこへ猫ちゃんがやってきます。赤の箱を開けるとボールが入っていたので、青の箱に入れ替えてしまいます。そうして部屋を出ていきます。しばらくして戻ってきた犬君が「さあ、ボールで遊ぼう」と言います。

連載10 子どもと料理をしようここで質問者が一部始終を見ていた子どもに「犬君はどっちの箱を開けると思う?」と尋ねます。もちろん正解は赤の箱ですが、3歳児では自分が知っていることは犬君も知っていると思うので青の箱と言います。4歳児なら犬君は青の箱のことを知らないと理解しており、赤の箱と言うことが多いとされています。この実験から他者の心が推測できる段階(操作期)にあるか、そうでない(前操作期)かが判別できるわけです。

しかしこれは間違っていると心理学者のミカエル・シーガルは言います。子どもは質問者の意図を取り違えて、「ボールのある場所を聞いているのだろう」と思い、青い箱と答えるというのです。その証拠に質問を「犬君は最初にどの箱をあけるでしょうか?」と聞くと、赤い箱と答える子どもがぐっと増えるとのこと。

このように幼児には適切な質問をしないと、質問者の意図した答えが帰ってこなかったり、質問者に迎合する答え方をしたりします。質問者が親ならばなおさらです。子どもは従来考えられている以上に、いろいろなことを理解しているのだと認識する必要があります。ただそれを表すことができないだけなのですね。

子どもと接する時に「どうせまだわかりっこない」と決めつけないで、「もしかしたらこの子はわかっているのかも」と考えて、彼らにとって解りやすい質問を投げかけるように心がけたいものです。

羊(2011/10/20)

幼稚園検索

保育園検索

幼稚園・保育園更新情報