子育ての秘訣

この人に聞く 連載第一回

人生の先輩の考える子育てとは

旭硝子株式会社監査役(非常勤) 塚越 孝三 氏
旭硝子株式会社監査役(非常勤) 塚越 孝三 氏

1. 企業人として必要な人材は

長くサラリーマン生活を経験してきて大事だと思うことを3つあげるとすれば、まず相手の気持ちを思いやれる想像力、苦しいときにもあきらめずがんばる粘り強さ、そしていつも世の中の出来事や新しい製品、新しい考え方などに興味を持ち続ける好奇心。この3つを備えた人間は企業にとっても必要な人材と思います

2. どうやってキャリア(進路)をお決めになったのでしょうか。

もともと親戚に役人の多い家系で社会のために役立つ公的な仕事をしたいという気持ちがあったことと、大学で経済学を勉強してこれを現実の仕事で生かしてみたいと思ったことから日本銀行をえらびました。その後ご縁があって証券会社に移りましたが、そのときは民間企業しかも銀行でなく証券ということで今までにない経験をしてみたかったという気持ちもありました。

3. 初めてのお孫さんをどう感じていらっしゃいますか。また、母親(お嬢様)に対して、どんなアドバイスをされましたか。

娘の赤ん坊の頃にそっくりで、当時を思い出します。日々成長していく様子を見るのが楽しみですね。母親にはあまり神経質にならずおおらかに育てなさいといっています。

4. 現在の母親、父親に対して、何かアドバイスを。

私たちの子育て時代と違って、今は共働きの家庭も多く、母親、父親それぞれがとても忙しく仕事をしているケースが多いと思います。それだけになるべく意識して子供と一緒に過ごす時間をつくり出すよう工夫することが必要と思います。とくに父親が育児や家事の面で協力することがとても大事です。夫婦で子育ての楽しみを分かちあってほしいですね。

5. ご自身ではどのようなことに気配りして子育てをされましたか。

3歳児になるくらいまではとにかく可愛がってやることが大事とききましたのでスキンシップ重視でした。最近の育児書でもこのことの重要性はさらに強調されているようですね。われわれの頃は抱き癖をつけてはいけないといわれたのですが最近は泣いたら抱っこしてあげろということのようです。幼稚園に入る頃からは子供たちが寝る前によく絵本の読み聞かせなどしました。中には悲しいお話もあって途中で涙がでて読めなくなったこともあったようで、子供たちが成人したあとでも時々ひやかされます。それだけ印象に残ったということなのでしょう。小学生になってからははできるだけいろいろな経験をさせてやるように心がけました。2年半ほどニューヨークに住んでいましたので、家族であちこち旅行をしたり、水泳、テニス、スキーなどを楽しみました。ニューヨークでの生活は家族の絆を強める意味でも、子供たちの体力づくりの面でもとても良かったように思います。最近は海外に赴任する若い人たちで日本の受験戦争などを心配して単身赴任するかたが多いと聞きますが、せっかくのチャンスをもったいないですね。

6. 学校の勉強のお手伝いなどされましたか。

子供たちの勉強を見てやるのはわりにすきでした。単に答えを教えるのでなく、ひと つづつ段階を踏んで子供に考えさせ、自分で答えを見つけださせるようにしていました。できたら誉めてあげることが特に大事ですね。自信がつきますし、何より勉強が楽しいと思うようになります。

7. 教育(子育て)に対して、一番重要なことは何でしょうか。

子供が自信を持てるようにすることが一番重要と思います。そのためには子供がやりたいと思うことをなるべくやらせてあげること(子供が相談してくるときは迷っているとき。そんなときに失敗してもいいからやってみたらと背中を押してやるのも親の仕事です)、いろいろな機会をとらえて誉めてあげること、そして「親はいつでも子供の味方だよ」というメッセージを送りつづけることが大事なことだと思います。

8. 子育ての上で奥様との役割分担はどうでしたか。

特に意識したわけではありませんが結果的には家内はしつけなどの面でかなりきびしいことも言っていましたね。父親にはなかなか言えないところをカバーしてくれたように思います。また家内と娘たちは時々こちらがはらはらするくらい本気でケンカをしていることもありましたが、終わるとうそのように仲良くなっており、やはり母親と娘というのは父親には理解しがたい結びつきがあるのだと思いました。

9.子育て中のお母さん方へ、お勧め本を紹介して頂けますか。

子育て中の娘が友人に薦められて愛読している「シアーズ博士のベビーブック」(主婦の友社 3400円) 8人の子供を育てたアメリカの小児科医と看護師夫妻が「自らの経験と小児科医療を通じて出会った何千人ものご両親とのつながりで得た貴重なものをぜひ共有したい」という思いで著した本。子育て中のカップルに勇気と安心を与えてくれるすばらしい本です。著者は、はしがきの中で「子育ては、人生での最も大きな投資です。どうか、あなたが子育てを通じてたくさんのすばらしい収穫を得られますように」といっています。

10.座右の銘があれば教えてください。

「わが計らいにあらず」  ニューヨークに独力で禅寺をたてられ禅の普及に努められている嶋野栄道師に教えていただいた言葉です。人間は自分の信念に従って日々努力することが大切で、その結果成功するかしないかは天が決めること。つまり結果よりも日々の心がけを大切にして生きるべきとの教えです。人生思い通りにいかないことはよくあること。そんなときにへこんでしまって自分を見失わないためにも、とてもよい言葉だと思います。

11.親子で訪ねるお勧めの場所があれば教えてください。

我が家の近くの砧公園。桜の季節は特にきれいですが、広々とした芝生があって家族でのんびり過ごすには最高です。

鼠(2009/06/11)

塚越孝三 氏 プロフィール

生年月日

昭和18年2月6日

出身地

東京都

現役職

旭硝子株式会社監査役(非常勤)
旭硝子株式会社ホームページ

学歴

昭和40年 東京大学経済学部経済学科卒業

略歴

昭和40年4月 日本銀行入行
昭和62年5月 日本銀行新潟支店長
平成元年5月 日本銀行考査役
平成04年5月 日本銀行神戸支店長
平成06年6月 岡三証券株式会社入社 常務取締役
平成15年6月 株式会社岡三経済研究所 代表取締役社長
平成18年3月 旭硝子株式会社監査役(非常勤)

趣味

絵画・読書・ゴルフ

家族

妻と娘2人

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