子育ての秘訣

考える力を養う

やわらかな発想をわが子に

連載4 熟達の10年ルール

何事もひとつのことを成し遂げるには10年かかると言われます。これには学習科学に基づく根拠があったのです。

「熟達の10年ルール」というのをご存知でしょうか。ある研究で音楽科の学生からプロのバイオリニストまで含めて調査したところ、プロとそうでない人の違いは練習時間にあることがわかりました。

プロとして活動している音楽家は入門してから第一線に立つまでに、およそ10年間に約1万時間の練習をしていたことがわかったそうです。アマチュアはそれよりも短い練習時間でした。

子どものピアノ教室でも同じような感覚を持ちます。練習時間が半分になると、教本の進み方も半分になってしまうのです。同じ年齢での入門でも数年後の進度に差がつきますが、子どもの能力の違いというよりも、練習時間の差の方が影響します。

では、ただ繰り返し練習すれば熟達者になれるのでしょうか?そうではありません。熟達者になるための条件があります。

熟達者になるための方法"

・自分の目指すゴールを設定する(やる気を出すために)
・よく考えられた練習をする(単なる繰り返しを超えて)
・自分を支えてくれるコミュニティを見つける(ゴールを共有し、ライバルにもなる仲間の存在)

やわらかな発想をわが子に

ゴールの設定とは「ピアノの発表会」「試合」「昇段試験」など様々ですが、やる気の出る目標です。よく考えられた練習の条件は次のようなものです。

熟達者のなるための練習とは=deliberate practice
・その人のレベルを向上させるための最適なレベルの困難度の課題
・練習の結果がフォードバックされ、自分で良し悪しを判断できる
・本人が自発的に取り組んでいる

現在の実力よりも少し高いハードルを設定して練習に取り組みます。筋力トレーニングなら少しウエイトを上げる、音楽なら少し難しい課題曲に挑戦するなど。

勝負に負ける、目標回数に届く、曲が弾けるなど自分で判断ができる練習が良い練習です。

なによりも自分が好きでやっているのでありやらされているのではないということが重要です。子どもの場合は最初は親がやらせるわけですが、楽しくなければ続きません。

また同じような仲間がいて、刺激し合い切磋琢磨できる環境がより望ましいわけです。クラブに入る、サークルに入る、道場に入門するなど。

私の子どものピアノ教室では、常に今弾いている曲よりも次の課題曲が難しく、同年代の仲間が同じ教室にいて、本人が好きだったこと、この条件に合致していました。そのために始めてから10年後には先生に音楽大学受験を勧められるくらいの実力がつきました。

どんな分野でも、誰でも熟達者になることができるそうです。一流になれるかどうかはまた別ですが、一流の人で良い練習を欠かした人はいません。昔から一つのことは10年やれば一人前になれると言っていたのはこのことだったのです。

子どもに何か一つ熟達した分野を授けてやれたら素敵ではないでしょうか。

羊(2010/01/15)

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