子育ての秘訣

親の力向上委員会

こどもの生きる力を伸ばすために

連載8 あいさつは親がお手本を見せる

東京目白にある川村小学校の若林雅子副校長先生は、「あいさつは強要されてするものではない」とおっしゃっています。

若林雅子 氏
若林雅子 氏

あいさつは親がお手本を

あいさつを強要することは、逆効果です。誰かに会うという時、はじめに、「きちんとあいさつしようね。」と、ひとことかけておきます。それが、会った時、「ごあいさつは」とその場で言うと、子どもは親の後ろに隠れてしまうものです。

その時はうまくできなくても、「また、こんどしようね。」と促します。そして、親が常に良い見本を見せていくことを心がけてください。それが、あいさつのしつけの全てといえるでしょう。

あいさつとは、人間関係の大切な礼儀であるとともに、人と人がかかわっていく、コミュニケーションの窓口です。そこに笑顔があれば、心に暖かいものが通います。元気なあいさつができれば、一日の活力がそこから生まれてきます。そのためにも、心をこめたあいさつを家庭の中でも心がけていただきたいと思います。

今の若いお父さん、お母さんに子育てへの提言

我慢の出来ない子ども

少し余談になりますが、最近人の話をじっと聞ける子どもが少なくなっています。その根底にあるのは、その年齢なりの我慢する心が育っていないということにあるようです。これは、我慢する機会に乏しい、ということなのでしょうか。

叱るという行為は、あまり意味がないといいましたが、これは、目線をかえると親にしからずに言い聞かせるという我慢がない、ということを表しています。

集団生活をする上で話をきちんと聞くことはとても大事なことです。話を静かに聞くことができないと、授業の要点も聞き漏らすことになりますし、学校生活を送っていく上でも、教師の指示もきちんと聞くことができないので、生活上さまざまな支障をきたすことにもなりかねません。

現代の生活は、欲望がかきたてられる消費社会が中心です。欲望をかきたてるのは一概に悪いとは言えません。アメリカ人はアメリカンドリームという言葉に象徴されるように、頑張ればこんないい生活が手に入るという夢を求めて多くの人が努力してきました。

日本でも、敗戦からようやく立ちなおったころ、「所得倍増計画」を掲げ国民は欧米に追いつけ追い越せと一生懸命働いてきました。ところが、ここで歪みがでてきたのです。バブル崩壊を経て、今はデフレの時代です。私たちの欲望も二つに分かれているようです。

一方はもっと欲しい、もう一方は、もういいじゃないか、欲しいものはだいたい揃ったんだし、と、いう人たちです。まだまだ我慢できないという人たちとそろそろ我慢して質素な生活を楽しもうという人たちです。贅沢な生活といっても今の贅沢は物質的な豊かさを追うだけで心の贅沢とは無関係ですから寂しいものです。

女子高生がブランド品欲しさに売春をする。今の社会はどうかしています。欲望実現のためなら何でもしていいわけではないことを教えるのは親の義務です。旅行に行きたいといってお金を借りる我慢しない。親自身が欲望をコントロールできなければ、子どもをがまんできる子に育てることはできません。

次回は「身の回りのしつけ」について考えます。(連載8へ続く)

鼠(2010/6/21)

子どもへの愛を深める(はやし浩司氏)  

経歴

川村学園女子大学卒業後、川村小学校で長年、教鞭を取られる。
現在、川村学園川村小学校 副校長

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